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フィリピンのマイクロファイナンス業界

おはようございます!

 

3月23日にオープンしたネクストシフトファンドですが、日々多くのお客様に口座を開設して頂いております。

第2号ファンドのカンボジアマイクロファイナンスファンド2号の募集は間もなく開始となります!

これから口座開設という方は、こちらよりお願い致します。

 

 

さて前回の投稿では急成長中のフィリピンについて紹介しました。

 

本日はフィリピンのマイクロファイナンス業界についてです。

同国のマイクロファイナンスは、以下のような特徴がありました。

1、金融機関に複数種類があり管轄当局が違う

2、貸出の上限金利がない

3、無担保のグループ融資が多く見られる

4、不良債権率は8%程度

5、ペソ建てで商業銀行から調達している

 

 

業界の概要を理解するために、フィリピンのマイクロファイナンス協会の事務局長のアランさんと話してきました。

 

マイクロファイナンス協会(Microfinance Council of the Philippines、以下MCPI)は47の金融機関と10の支援機関が参加している団体で、各マイクロファイナンス機関の社会性の評価や、トレーニング(Capacity Buildingと呼ばれています)、業界の調査・報告を行い、業界全体のサポートをしています。

 

上記5つの特徴の前に、全体像の説明になります。

マーケット全体の融資残高は8億ドル(カンボジアは31.6億ドル、2016年次カンボジア中央銀行レポート)

マイクロファイナンス機関の数は数千(カンボジアは約300)

借り手は合計で約5百万世帯(1世帯5人とすると、2,500万人に行き渡っている。カンボジアは借り手が約2百万世帯)

上位3行は順に

1Card

2Asa Philippine

3TSKI

上位10行で全体の8割のシェアを占める(融資残高ベース)

 

 

 

以下が今回学んだことになります。

 

フィリピンのマイクロファイナンスの種類

フィリピンでは、マイクロファイナンス機関と呼ばれるものとして、

NGOマイクロファイナンス(約100行)

地方銀行(Rural Bank、約150行)

コープ(数千行!)

があります。

それぞれの当局が異なり、上から証券取引委員会、中央銀行、協同組合となり、事業ライセンス取得の難易度もどれも異なります。

ヒアリングしたところ、NGOマイクロファイナンスのライセンスが半年、貸金業は1年かかったそうです。。

それ以外にも貸金業者や質屋が別途あるので、ちょっとわかりづらいかもしれません。

 

 

貸出金利上限がない

フィリピンでは上限金利がなく、多くが月利2−4%で、年利で24−48%、平均借入期間は3−6か月、平均借入金額は約100ドル、最大は約6,000米(30万ペソ)ドルです。

カンボジアは年利の上限が18%、期間は半年から1年が多く、サイズは大小ありますが、3,000米ドルあたりが中間です(複数の大手マイクロファイナンス機関のヒアリング)。

30万ペソを超える融資は商業銀行の役割となり、担保が必要となります。

100万から200万ペソ(約2万ドルから4万ドル)になると中小企業融資の扱いとなり、Thrift Bank(貯蓄銀行というまた別の種類の金融機関になります)が融資を行います。

しかし多くの中小企業が充分な担保を持っていないということで、途上国で見られるMissing middle(大企業と農家・低所得者層は金融へのアクセスがあるが、中小企業にはない状態)がフィリピンでも起きていることがわかりました。

 

 

 

グループ融資が多い

フィリピンではいわゆるグラミンモデルと呼ばれる無担保・連帯保証のグループ融資が一般的ということがわかりました。

一方でカンボジアでは大部分が個人の不動産担保融資です。低所得者も土地を持っているカンボジア特有の環境であり、これによって不良債権率が世界的に見ても低く保てている理由の一つです。

例えばマイクロファイナンス機関最大手のプラサックは、ローン残高に占めるグループ融資の割合は0.15%のみです(2016年年次レポートより)。

 

 

不良債権率がカンボジアに比べ高い

フィリピンではPAR (Portfolio At Riskの略で、30日以上の遅延債権。回収不可能とは厳密には異なりますが、カンボジアでもこのPARを指標として使います)8%で、一方カンボジアは過去5年平均で1%台(カンボジア中央銀行レポートより)です。

担保、保証の有無がすべてとは言い切れませんが、カンボジアに比べてリスクもあるということがわかります。

 

 

国内での資金調達が可能

フィリピンでは商業銀行から現地通貨建てで4−7%程度で調達ができるので、海外のマイクロファイナンスファンドはあまり多くないと聞きました。

カンボジアのマイクロファイナンス業界は、外資を必要としており、ドル・高金利・低い不良債権と魅力的な投資先として見られていましたが、この点ではカンボジアとは大きく異なる点ですね。

 

商業銀行以外でも、Land Bankと呼ばれる政府系の銀行からも調達していると聞きました。

 

 

 

最後に課題点をアランさんに挙げていただきました。

・オペレーションコスト(特に人件費)。テクノロジーも増えていますが、インフラ整備が必要。

・過剰融資の懸念。1つの政府系と3つの民間の信用情報機構があるが、まだ完全に機能をしていない。

・テロ・災害時の借り手保護。最初に被害を受けるのは貧困層の借り手なので、対策が必要。

 

たくさん学んできました!ファンドとしては入りにくいマーケットかもしれません。

しかし低い調達コスト・貸出金利に上限がない、また残高の伸びしろがまだありそうといった点では、おもしろいのではとも思いました。まだまだ勉強が必要です。

 

次回はこの業界にインパクトを起こすフィンテックスタートアップの紹介です!

 

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