ブログ

カンボジアのマイクロファイナンス業界について その1

おはようございます!

さて本日はこのブログのメインの一つである、カンボジアのマイクロファイナンス(MFI)業界についてお話したいと思います。

まだまだ経験・勉強不足ではありますが、データに基づいて少しでも有益な情報発信をできたらと思います。

まずは主なデータから。なおここではクレジットオペレーターは除いています。
・国全体で71行(2016年)、うち7行が預金受入可能(=上位トップ7行です。Prasac, Amret , AMK, HKL, Vision Fund, LOLC, Kredit)

それぞれの紹介はまた今度します。
・71行中で、日系資本が入っているのは約10行
以下2016年情報です。

業界全体の
・総融資残高:31.6億ドル

・借り手189万人
一件あたりの平均ローンサイズ1,671USD
(機関によって大きく異なるので一概には言えません。なお中間値は2-3000ドルと言われています)
内訳は農業が33%、Trade and commerce(小売など)が19%、サービス業が10%、その他建設などが続きます。
平均貸出金利はドルが年29.6%、現地通貨のリエル建は34.5%!
※これまで上限金利はありませんでしたが、2017年4月より18%と設定されました。
調達も貸出もドルが主流で、ドルのみという機関もあります。
投資家としてはありがたいですが、同国中央銀行は脱ドル化を長期的に計画しています。貸出残高の10%を現地通貨リエル建に三年以内にしなくてはいけない、という省令が昨年末に出ました。

・総預金残高:14.9億ドル

・預金者150万人
平均預金残高993USD
(数百万ドル預ける大型顧客もいるので、こちらもあまり参考にはなりませんが、単純計算しました)
平均調達金利は年約6%(定期預金1年、リエル建のほうが高いです)
預金ができないMFIは個人・機関投資家からの借入をしますが、金利はほぼ同じか、預金より若干高いです。

・総資本:38.9億ドル
著者地元で大活躍(?)の横浜銀行が16兆円なので、カンボジアのMFIが束になっても日本の地銀にはまだ敵いません。
先は遠いですね。
融資残高、預金残高、総資本平均で毎年20-30%増を続けていて、驚異的な成長です。。
しかし2016年から鈍化気味です。業界内部経営層によると、悪天候(毎年・・?)や競争激化が原因とのことです。

・不良債権率(Non-Performing Loan、NPL):1.44%。2015年までは1%を切っていたので、少し気になります。
カンボジアにおいては不動産担保融資が主流で、かつ掛値の5割程度しか融資しないので、このような低い数字になっています。

マイクロファイナンスというと、5人組の無担保ローンがイメージされるかもしれませんが、同国では個人向けにシフトしてきました。
グループローンの多くは遠隔地で見られます。

・業界ROE:16.4% 毎年20%弱を推移しています。
(いずれも2016年中央銀行レポートより、1ドル=4,000リエルで計算)
参考になれば幸いです。

投資に関するコンテンツやその他お役立ち情報などを配信します。

ニュースを見る